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Biochemistryに論文が掲載されました


概要

コンセンサスデザイン(Consensus Design:CD)は、膨大な量のタンパク質配列データを解析することで、高機能なタンパク質を設計することができる代表的な配列ベースのタンパク質設計手法である。本研究では、CDの派生的アプローチとして、タンパク質の部分的コンセンサスデザイン(PCD)を提案する。この手法は、対象となるタンパク質の配列を、二次構造依存的に(すなわち、領域依存的に、αヘリックス領域、βシート領域、ループ領域に分けて)コンセンサス配列に置き換えるものである。本研究では、Cupriavidus necator由来のTDH(CnTDH)を標的タンパク質として、PCDにより複数の人工的な部分コンセンサスl-スレオニン3-デヒドロゲナーゼ(PcTDH)を生成した。PcTDHの構造と機能を解析した結果、TDHのループ領域にコンセンサス変異を導入すると、熱安定性が独立して向上することが示唆された。CnTDHの1つの領域をコンセンサス配列に置き換えると負の効果しか得られないが、2つの領域を同時に置き換えると負の効果は無効になった。以上のことから、タンパク質には、耐熱性や活性などの個々の特性をコードする領域が存在し、これらの領域にコンセンサス変異を導入することで、その機能を相加的または相乗的に変化させることができるという仮説を提案した。